2013年11月17日日曜日

【所感】リーダーシップについて(NHK白熱教室まとめ 第3回)

前回に続き、第3回。個人的な偏見を踏まえたまとめ。

リーダーシップの原則

リーダーシップの原則は、人々に今どの時点にいるか、どこにいるか問うことにある。
そして、人々を導く。

我々はリーダーシップを「問題解決に向けて進展すること」と定義する。
ただ、どこが進歩なのかは振り返らないとわからない。

アメリカ社会で、成功したリーダー、キング牧師の例

彼は公式の権威はほとんど無かった。

NANCPではなく、南部キリスト教指導者会議の権威があった。それが公式な権威。
ただ、彼において重要なのは人々に影響を与えたのは公式な権威だけではなく、人々を動かす、いわば非公式な権威があったことだ。


  • 非公式な権威は、公式な概念を包み込む、幅広い範囲となる。
  • 非公式な権威は、社会構造や制度ではない。
  • 非公式な権威は、人々が期待するサービスに基づき、活動することで得られる。

キング牧師の仕事は、アメリカにおいて公民権・人権を擁護することだった。

非公式な権威の外部に、その他のグループがある。
大衆というグループはキング牧師に興味が無い。
つまり、キング牧師に何の権威も感じていない人々のことである。

キング牧師において、重要なのはこの大衆とよばれるフォロワーではないグループを導けるか、ということだ。結果的に言うと、キング牧師はこの大衆を導いた。

リーダーシップにおけるもっとも多い失敗とは何か。

リーダーは正しいことを行い、人を導く。
一方で、過去のリーダー達は正しいことをしようとしても失敗してきた。
何故、こんなことが起きるのか?


よくある失敗の原因は、2つの基本的なチャレンジを混同することである。

  • 技術的に解決できるものに対する解決策を示す
  • 解決できないものに対する解決策を示す


例えば、医師は「患者を診断し、治療を提示する」

見ればわかる病気(特徴的な感染症など)は技術で解決できる。
一方で、心臓病はすぐにわからない。これらを混同してはいけない。
また、診断を下すことは全ての最初の作業であり、かつ、もっとも難しいことである。

診断を下した瞬間、「問題を解決する、あるいは問題の一部しか解決できない」ことが決まる。
尚、結果は行動した後でしか確認することができない。


  • 診断と行動は反復のプロセス
    • 問題を解決する方法がある場合である。
  • 発見と適応の反復プロセス
    • 問題が解決されない場合である。
問題が解決されない場合、例えば「末期がん」の場合である。
この場合、適応が必要な問題がたくさんある。
まずは患者に「解決策が無い」ことを伝える必要が有る。また、患者の夫、妻、子どもなどにも来るべき結果に対して準備をさせる必要がある。
これは人の感情が関連するため、最も、難しい仕事の一つである。
このとき、医師ができることといえば、患者の代わりにはなれず、環境を提供することだけである。

大統領の憂鬱

大統領は社会的権威と同時に、制約があり、その制約の中で如何に人を導けるかが重要である。
技術で解決できることもあれば、適応によって少しだけ解決させることもある。

例:
薬物の乱用が発生し、解決が急務だった場合、大統領は何をスピーチするか。
  • ・背景を説明すべきか。つまり、解決しない問題であることを示す。
  • ・決意を説明すべきか。つまり、解決策を出すことを宣言する。
結果的に、大統領は決意を選んだ。

この結果、大統領は非公式の権威を得た。

国民は言った「これぞリーダーシップだ」と。



つまり、国民が大統領に期待するのは「専門的な解決策」であるということだったのだ。

ところが、ここでポイントなのだが、実はこの問題については、「専門的な解決策」など無いのだ。
おそらく解決策は、お互いコミュニケーションを持つ、適切な教育と宗教などを全員が持つこと。
そして、周りの人間が周りを導きあう必要がある。そんなことは大統領だけでは解決できない。

つまり、失敗する理由とは
解決策など無いのに、専門的な解決策を提示しなければならないとき
であると言える。

ただし、政治家として「解決策が無い」というのは政治生命として危険なことを指す。
なぜならば、信頼を失うからだ。

結果的に、政治家はよく出だしはうまくいくが、途中で言わなければならないパターンにはまる。
そして、途中で解決策が無いことを言うことになる。
「これは解決することができない。問題は社会に問題がある。一人ひとりが立ち向かわなければならない。政治は手伝いできることが多い。しかし、最終的にはあなた方の頑張り次第である。がんばってください」
そして、支持率を失っていく。

国民に痛みを与えるメッセージは、国民からの信頼を得ておく必要がある。
国民に専門的な解決策を示す必要がある。
しかしながら、解決策は無いということもある。

この場合、始めは良いが途中で解決ができないことがわかるようなパターンが繰りかえるされる。

時間をかけて改善させる問題に対峙した場合、バランス取れた状態にできるだけ早く遷移するため、バランスの悪い状態をどれだけ回避できるか、ということである。

民主政治における政治家は信頼に基づいて権威を得る。
そのため、有権者に対して、変化を迫れなくなることが多い。
変化を迫ると、信頼を得られないためだ。

一方で、独裁者なら、変化を与えることができる。
人々は危機的な状態になればなるほど、解決できる人物を強く求める。
多くのカリスマある独裁者は危機的な状況にて生まれる。
ただ、よくある失敗として、このようなカリスマのある独裁者に権威を与える場合、すなわち、目先の解決策に飛びつき、診断と解決策の妥当性を評価する時間を捨ててしまうことである。
このような場合、失敗を後から知る。

つ「すぐれたコンサルタントは、クライアントが嫌がっている問題に対して、徐々に向かい合えるように誘導してゆく」のである。

リーダーシップの評価の仕方

講演の中で「問題解決の渦中の場合、評価できないのではないか?」という問いがあった。

リーダーがどのように問題を定義し、技術的解決、あるいは問題に対する環境の適応をどのように行ったかを、どう評価すればよいのか、と。

この問いに対しては答えが複数あるため、明快な答えは無い(ようである)。

技術的な解決策のある方法については、問題が解決するまで経過を観察すればよい。

一方で、問題に対する環境に適応させる解決策においては、新しい適応力を作り出すことになる。
そのため、現状を超えること、すなわち力量の限界を超えなければならない。
つまり、多くの場合は、複数の利害者により、問題への見方がわかってしまう。
そのため、リーダーの実行に対して世界の反応を観察する必要がある。

次回の話題

リーダーのアドバイスが人々に聞き入れられない理由を検討する。
コンサルタントが顧客に提案したにもかかわらず、クライアントは対応しないのか。
心臓病だった人が生活習慣を見直す確立と同じぐらい低いのか。

ふむ、来週も学ぶことは多そうだ。

ではまた。