2012年2月22日水曜日

早期退職制度の時代を生きる(その1)

NECが早期退職制度を実施するそうな(NECが早期退職者募集 人件費抑制策、労組に提案 )。

要約すると、NECは、業績不振などから、今年度は1000億円の 最終赤字に陥る見通しで、NECグループ全体で1万人規模の人員削減、一施策として、事務系の正社員40歳以上の人を早期退職制度に促すらしい。

で、ちょっと調べてみると「企業から見るとデメリットがほぼない、(企業にとっては)素敵な制度なんじゃないか」という仮説がたちそうなのでメモ。

早期退職制度
・企業は従業員に定年まで払わなければいけない給料(40歳なら20年*月収+退職金)を、その人を雇用しない代わりに手切れ金「支給(Nヶ月の給料)+退職金」で支払う
・ってことは、Nヶ月が36ヶ月(=3年)とかになっているから、長期的にはメリットがある
といったもの。

というわけで、「あんた費用対効果ないから、定年より早くやめてね。早く辞めさせるから手切れ金Nヶ月の至急もするよ。ほら、はやくはやく」といった感じ。

※真面目な説明はリンクとかを参照して、探してみてください。(財務・会計 第18回 早期退職金制度をファイナンスの視点から考える

メリット、デメリット
で、早期退職制度を行ったときの企業側のメリットをまとめてみた。

企業側のメリット
・長期的には人件費が減る
・年老いた人が消えるので、ポストが空く。
・若手が出世しやすく、企業に新しい発想が生まれる

企業側のデメリット
・一時的には人件費(と計上されるのかはわからないが)が増える
・優秀な人材から出て行く

従業員のメリット
・最終的な収入が増える人がいる(就職先がある、起業して収入を得られる)
・ポストが空いて出世しやすくなる(残った若手は。ただ出世するメリットが高いかは知らない)

従業員のデメリット
・就職先が見つからず、収益源を失う(働く能力がない場合)

企業側のデメリット
この手の話でよく聞く話としては「優秀な人材が抜けていく」ってところです。
とすると、仮説としては「長期的にはだんだん、売上高が下がる」ということが成り立つ(はず)。
理由は、「技術不足で大きな問題が発生。信用を落とす」、「同業他社が力を付けて競合他社に売り上げと取られる」といった話があると思うわけからです。
ってことで、Google日本法人の社長(辻野晃一郎 - Wikipedia)を排出したソニーについて見てみました。

ソニーの例
ソニーは2003年~2006年に大規模な早期退職制度を実施しています(ソニー 高賃金の足かせ like no other?(対価))。
んで、そのソニーは2012年となった現在までの経緯で、結局、どうなったかということで、会社HPのヒストリカルデータを見てみました。で、売り上げ高、利益率(SONY(ヒストリカルデータ))を見てみましたが・・・


「なにも変わっていません」


という感じでした。(もちろん退職金と思われる一時的な支出はあったようですが)

あれ?変わってない? 意味あんの、これ?

ソニーの例(その2) 変わらないのはいいことだ?
というわけで、良くも悪くも、ソニーはあまり変わっていないようです。

人事に詳しい方は「組織はたかだか10年で大きくかわらんだろう」という方がいらっしゃるかもしれません。とはいえ、企業のVisionへの推進でもない限り、10年たっても変わらないのは企業の施策として微妙といわざるおえません。

しかし「大きな変動がなかった」というのは逆の意味でとらえると「厳しいデフレに生き残る(現状維持)をこなすことに成功した」ともいえます。

おそらく、以下のパターンの人を積極的に退職させたのではないかと思うわけです。

1.会社の効率化が実施された
2.会社の効率化によって人手が不必要になった
3.不要である旨を従業員に伝えた

ま、根拠はないですが、人が減ったのに売上高が変わっていないので、そういうことかと思っています。

ちなみに「優秀な人材が流出した」については、財務が代わっていないということから、「実は、他に代わりがいた」あるいは「逆境によって他の人が成長した」ということかと。
(逆に利益率があんまり変わっていないのは微妙な気がしますが)

一例としてGoogleの社長に行った辻野さんが、ソニーに残っていたら、、、と思いますよね。
ところが、それまでのソニーの業績や著書(以下)によると、「ソニーに残っていてもあまり貢献できなかった状況なので退社した」ような文面があるのです。

つまり、「優秀な人材は抜けていく」。「ただし、残っていても優秀な人材はその能力を発揮できない」といった事例があるというのは、あまり議論されていない気がします。
(ちなみに「圧倒的な能力を発揮しているならば、企業が止めるので早期退職できないのでは」と思います。私もそういう立場になってみたいところですが)


というわけで
早期退職制度については企業側にはデメリットが(ほぼ)ないということがわかってきました。
 とすると、逆の立場である従業員はデメリットだらけ?
肩を叩かれた人や、そうなるかもしれない若手、残った若手はどうしたらいいのか?

それについてはまた今度。

まぁ、そんな感じ。